歴史と職人の技が紡ぐ!埼玉県の伝統工芸品
2021年06月24日(公開日:2021年4月1日)
都心に近く様々な産業が集結する埼玉県。
アクセスと風土に恵まれた埼玉県には、後世に残したい伝統の技が数多く受け継がれています。
職人の技と美、そして実用性を兼ねたこれからも大切に受け継いでいきたい工芸品ばかりです。
今回は、埼玉県で受け継がれる伝統工芸品について紹介させていただきます。
埼玉県の伝統工芸品一覧と伝統工芸品に触れられる施設や体験施設も併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
歴史と技を受け継ぐ、埼玉県の伝統的工芸品
数百年以上の歴史に育まれ、古くからの製法を大事にした職人による埼玉県の伝統工芸品はひな人形をはじめ、藍染めや木工品など種類も様々。
一般的な伝統工芸品と異なり、「伝統的工芸品」というものがあります。
それは、伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)によって定められた伝統的工芸品は、一定の要件を満たし、経済産業大臣の指定のもと認められます。
【伝統的工芸品の要件】
- 主として日常生活で使われるもの
- 製造過程の主要部分が手作り
- 伝統的技術または技法によって製造
- 伝統的に使用されてきた原材料
- 一定の地域で産地を形成
令和3年1月現在、全国に伝統的工芸品は236品目あり、そのうち以下の5品が埼玉県の伝統的工芸品です。
- 江戸木目込人形
- 春日部桐箪笥
- 岩槻人形
- 秩父銘仙
- 行田足袋
参照:一般財団法人 伝統的工芸品産業振興協会 伝統的工芸品指定品目一覧
令和の時代となり、今も受け継がれている伝統的工芸品は、これまでの歴史と職人の高い技を感じさせ、後世に残したい一品ばかりです。
そして、高い技術をもつ職人は「埼玉県伝統工芸士」として認定されています。
では、そんな職人の技が光る埼玉県の伝統的工芸品をご紹介します。
江戸木目込人形
埼玉県をはじめ、東京都大東区や墨田区などが生産地の伝統工芸品である人形で、衣装の生地を木の切れ目にはさみ込むため「木目込人形」と呼ばれています。
大きな特徴は、1枚の布地からなる衣装。
作者の技術やセンスが表現され、細面でくっきりした目鼻立ちにシャープな美しさを感じさせます。
現在も昔ながらの手作業で五月人形、雛人形、浮世人形など様々な作品が制作されています。
では、江戸木目込人形の製造元をみてみましょう。
有松人形工房
昭和44年に創業した木目込人形の製造卸店。
経済産業大臣認定の伝統工芸士、有松陽寿のオリジナルの「御所風唐子人形」は高い評価を得ています。
工房で制作した親王雛、立雛、つるし飾りなどは工房隣の「雛の蔵」で数多く常設展示され、購入も可能です。また、公式オンラインショップでも様々な作品を購入することができます。
工房情報
公式HP
https://arimatsu-doll.com/mp/kimekominingyo
所在地
〒339-0063 埼玉県さいたま市岩槻区美幸町5-13
TEL:048-756-3529
人形工房 空
江戸木目込人形伝統工芸師の認定を受けた小林明夫氏の人形工房。
岩槻が生産地で30年江戸きめこみ人形のデザイン、製作、販売を行っています。
五月人形や雛人形などの伝統工芸品だけでなく、コロナに打ち勝つアマビエなど新しい作品の制作にも力を入れています。
工房では温かい雰囲気の中、オリジナルの人形やストラップ、ジュエリープレートなど様々なきめこみ体験ができます。(要予約)
工房情報
公式HP
所在地
〒339-0061 埼玉県さいたま市岩槻区岩槻5078-2 寿光工芸内
TEL:048-756-0811
春日部桐箪笥
埼玉県さいたま市・春日部市周辺が生産地のシンプルなデザインの箪笥。
木の潔い直線と温かみが感じられるデザインが特徴です。伝統技法を守りながら現代のデザインを取り入れたインテリアとして愛用される方が多く「嫁入り道具」として受け継がれてきました。
防湿性、難燃性、軽量に優れた春日部桐箪笥は、衣類の保管にぴったりの箪笥とされています。
では、春日部桐箪笥の製造元をみてみましょう。
飯島桐箪笥製作所
桐の原木から製品までをモットーにし、経営者自ら桐タンスを作る職人である飯島桐箪笥製作所。
国内外の観光客・学生の社会見学など多くの方が春日部桐箪笥作りの伝統技術を見学に訪れ、様々なメディアでも紹介されています。
飯島桐箪笥製作所で制作された製品は公式の名工直販ショップにて販売され、購入後のアフターケアも充実しています。
企業情報
公式HP
http://www.iijimakiritansu.com/
所在地
〒344-0014 埼玉県春日部市豊野町1-1-9
TEL:048-734-3922
山田桐箪笥店
メンテナンスを続けることで家族代々で受け継ぐことができる桐箪笥。
老舗の山田桐箪笥店は、創業200年以上の伝統をもち桐箪笥の製造や修理、再生や削り直しなどを行っています。
オリジナル商品である「漆塗り隅金具付和風桐箪笥」がシックな色とデザインが美しく洋室にも合う人気が高い商品です。
企業情報
公式HP
所在地
〒344-0007 埼玉県春日部市小渕664
TEL:048-752-2080
岩槻人形
埼玉県さいたま市岩槻区で作られる愛らしい日本人形で、雛人形、五月人形、浮世人形が主な製品です。
丸顔で大きな目、華やかな姿が特徴的で、まるで生きているかのような瑞々しさがあります。
なめらかで美しい人形の髪は、生糸が使われ髪付師によって仕上げられています。
自然豊かな城下町である岩槻区は、現在でも日本人形の名産地として有名です。
では、岩槻人形の製造元をみてみましょう。
鈴木人形
1934年に創業した老舗日本人形専門店鈴木人形。鈴木人形の工房は、埼玉県指定伝統工芸モデル工場となっています。
鈴木人形では年間4万体以上政策され、国内外からの観光客はじめ学生の社会見学・文化企業研究など年間6,000名もの見学者が訪れるそうです。
企業情報
公式HP
所在地
〒339-0057 埼玉県さいたま市岩槻区本町3-5-16
TEL:048-757-0222
日本初の人形専門公立博物館!「岩槻人形博物館」
2020年2月22日、さいたま市岩槻区に日本初の人形専門公立博物館として会館し、
近代人形産業の拠点として、岩槻に伝わる人形作りの技や人形の美と歴史を広く発信。
人形や人形文化に関する資料の収集・保存、調査研究のほか、展覧会や教育普及活動を行っています。
住所 | 埼玉県さいたま市岩槻区本町6丁目1-1 |
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TEL | 048-749-0222 |
公式HP | https://ningyo-muse.jp/ |
開館時間 | 午前9時~午後5時 |
休館日 | 月曜日(休日の場合は開館) 年末年始(12月28日から1月4日まで) |
入館料 | 一般 300円(200円) 高校生・大学生・65歳以上 150円(100円) 小中学生 100円(50円) ※( )内は20名以上の団体料金 ※障害者手帳をお持ちの方と、付き添いの方1名は半額 |
秩父銘仙
養蚕業がさかんな埼玉県では、古くから絹織物業がさかん。
伝統工芸品のひとつである秩父銘仙は埼玉県秩父市、秩父郡横瀬町、秩父郡小鹿野町、秩父郡皆野町、秩父郡長瀞町などで作られてきました。
秩父銘仙はほぐし捺染の技術を使った鮮やかで大胆なデザインが魅力的な織物で、角度によって色の見え方が異なる玉虫のような美しい色合いが特徴です。
大正から昭和初期、モダンガールの間で人気となりました。
では、秩父銘仙の製造元をみてみましょう。
逸見織物
関東の絹織物の伝統を絶やさないという信念を大事にした老舗織元。
コロナ禍では、マスク不足と値段の高騰からオリジナル不織布マスクや秩父銘仙マスクを製造。熱殺菌と紫外線ライトのW殺菌で衛生面にも配慮され、ジャストフィットするマスクだと人気の商品となっています。
企業情報
公式HP
所在地
〒368-0001 埼玉県秩父市黒谷1463
TEL:0494-22-0708
新啓織物
銘仙、秩父銘仙、復刻銘仙、ほぐし織り、反物を織っている織物工場。
メインの秩父銘仙は職人の手によって昔ながらの半木製織機にて織られています。
自社で企画、デザイン、製造を行っておりオリジナルのハンカチ、ストール、マスクなどはウェブショップ(BASE/Creema)より購入することができます。
企業情報
公式HP
所在地
〒368-0022 埼玉県秩父市中宮地町37-9
TEL:0494-22-3140
「ちちぶ銘仙館」で織物体験&モダンガールの仲間入り!
おしゃれな秩父伝統の秩父銘仙は、秩父市内にある「ちちぶ銘仙館」で体験することができます。
秩父銘仙の製造過程の見学やコースター作りや藍染め体験ができるほか、色とりどりの銘仙羽織の無料レンタルがあります。
埼玉県秩父工業試験場の跡地を利用したちちぶ銘仙館で写真を撮れば、インスタ映え間違えなし!
住所 | 埼玉県秩父市熊木町28-1 |
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TEL | 0494-21-2112 |
公式HP | http://www.meisenkan.com/ |
開館時間 | 午前9時~午後4時 |
休館日 | 年末年始(12月29日~1月3日) |
入館料 | 大人 210円 中学生・小学生 100円 ※25名様以上の団体様で入館料が大人150円、小中学生50円になります。 |
行田足袋
木綿の一大産地である埼玉県行田市の特産品である行田足袋。
江戸時代中期より産業として誕生して以来、全国一の足袋生産を誇ります。
2017年、行田足袋は保管のために建造された足袋蔵等とともに「和装文化の足元を支え続ける足袋蔵のまち行田」の構成文化財として日本遺産にも認定されました。
最近ではおしゃれな色柄足袋も多く常に新製品が発信されています。
立体裁断され、指のおさまりがよいので和装を愛する国内外の方から人気が高いアイテムです。
それでは、行田足袋の製造元をみてみましょう。
きねや足袋
足袋、地下足袋、お祭り用品の製造・卸を行っています。
メディアからの取材も多く、小説・ドラマ「陸王」で注目されたランニング足袋「MUTEKI」が有名です。
現在コロナウイルス感染症対策のため閉館していますが、足袋の館では足袋づくりが体験できます。営業日には玄関先小売スペースで足袋の購入も可能です。
企業情報
公式HP
所在地
〒361-0032 埼玉県行田市佐間1-28-49
TEL:048-556-6361
行田の歴史に触れる!行田市郷土博物館
行田足袋の歴史を知るには行田市郷土博物館がおすすめです。
常設展示室では足袋職人が実際に使用していた道具や、足袋の商標を印刷したラベルのコレクションなど、行田ならではの資料が多数展示されています。
住所 | 埼玉県行田市本丸17-23 |
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TEL | 048-554-5911 |
公式HP | https://www.city.gyoda.lg.jp/kyoiku/iinkai/sisetu/hakubutukan.html |
開館時間 | 午前9時~午後4時30分(最終入館受付午後4時まで) |
入館料 | 大人200円 大学・高校生100円 中学・小学生50円 |
My足袋作り体験ができる!足袋とくらしの博物館
牧野本店という足袋工場だった足袋とくらしの博物館。建物が使われなくなり、工場の雰囲気を残したままの博物館として誕生しました。
博物館内では展示物や元足袋職人による実演の見学、My足袋作りの体験が楽しめます。
My足袋作り体験
開催日:毎月第二日曜
開催時間:午後1時〜午後3時(所要時間2時間かかります)
参加費:一足 2,500円
定員:4名
ー 要予約 ー
お電話:048-556-5171(土日 10時〜15時のみ *時間外はメールでお問い合わせお願いします)
E-mail: gyoda@tabigura.net
住所 | 埼玉県行田市行田1-2 |
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TEL | 048-552-1010(10時〜16時) |
公式HP | https://www.tabigura.net/tabihaku.html |
開館日 | 土、日(夏期休暇あり。冬期は12月半ば〜1月上旬まで休館) |
開館時間 | 午前10時〜午後3時 |
休館日 | 年末年始(12月29日~1月3日) |
入館料 | 200円(小学生は100円) |
埼玉の伝統工芸品を深く知るなら「埼玉伝統工芸会館」へ
埼玉伝統工芸会館は、埼玉県指定の伝統工芸品を展示する資料館です。
各産地組合協力のもと、つるしびなや春日部桐箪笥、小川和紙など様々な工芸品の実演や体験も行っており、職人達の長年培った手業に触れることができます。
常設展示や特別展だけでなく、「道の駅おがわまち」という農産物直売所が隣接し、地元の食材を味わえます。
また、工芸の里物産館では伝統的手工芸品の販売もされています。
住所 | 埼玉県比企郡小川町小川1220 |
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TEL | 0493-72-1220 |
公式HP | https://www.saitamacraft.com/ |
開館時間 | 午前9時30分~午後5時 ※入館は午後4時30分まで |
休館日 | 月曜日(この日が祝日の場合、開館) 祝日の翌日(この日が土・日・祝日の場合、開館) 12月29日~翌年1月3日 |
入館料 | 無料 |
【まとめ】埼玉県の伝統工芸に触れよう!
いかがでしたでしょうか?
埼玉県で受け継がれる伝統工芸品について紹介させていただきました。
埼玉県には伝統的な工芸品が数多く息づき、今もなお受け継がれていることがお分かりいただけたかと思います。
今回ご紹介させていただいた工芸品はごく一部になりますが、関心のある方は「埼玉伝統工芸会館」で様々な伝統工芸品に触れることができます
伝統人形や染め物が中心となり加工から製造までわかりやすく展示され、ひな人形、羽子板、だるまなど埼玉県内各地の伝統工芸品の購入のほか、紙漉き体験などアクティビティが盛りだくさん。
また、伝統工芸品のそれぞれの工房でも見学や体験を受け付けているところも多いので、ぜひ訪れてみてくださいね。
※現在、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため一部閉鎖しているところや時間が変更されている場合がありますので、来訪前に問い合わせしてください。