伝統産業から最先端産業まで!埼玉県の産業は?
2021年07月06日(公開日:2021年6月28日)
埼玉県はものづくり産業がさかんですが、その中には地域の経済や雇用、文化に大きな影響を与える地域に根差す「地場産業」があります。
時代の流れによって海外製品の輸入や生活スタイルの変化によってニーズが減少しつつあるも、様々なアプローチでまちづくりの発展や地域活性化につながっています。
今回は埼玉県の地場産業について、また県が力を入れている先端産業、科学技術産業も併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
埼玉県の地場産業「地場産業活性化再生支援事業」
地域の特性や技術、原材料を活かして製造する“地場産業”ですが、埼玉県は以下の産業が地場産業として活躍しています。
- 食料品
- 繊維製品
- 木材・木製品
- 紙器・印刷
- 皮革・窯業
- 機械・金属
- 民芸品
参照:さいたまの地場産業
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0803/jibasanngyou.html
【埼玉県地場産業活性化再生支援事業補助金】
埼玉県では地場産業を地域経済の重要な担い手として、埼玉県中小企業団体中央会が窓口となり、地域資源を活用した新製品開発や、地場産品の販路開拓に要する経費などに支援しています。 では、それぞれの地場産業について詳しくみてみましょう。
食料品
埼玉県では食料品の製造もさかんで、多種多様な特産品たくさんがあります。 お土産としても有名で読んでいるだけで食べたくなるような地域の名産を紹介します。
埼玉漬物
埼玉県の面積の4分の1を占める秩父地方を中心に作られるしゃくし菜漬け。チンゲンサイに似たしゃもじのような形と、漬物にしてもシャキシャキとした歯ごたえが特徴的です。 埼玉県には漬物店が多く、長ネギ漬けや福神漬けなど各店舗独自の商品や手作りの製法で旬の野菜を使った様々な漬物が作られています。
煮ぼうとう
埼玉県深谷地方の郷土料理として有名な煮ぼうとう。深谷ネギをはじめ四季折々の地元野菜類を使い、幅広い生麺を煮込んで食べます。 にぼうと、武州煮ぼうとうとも言われ、深谷出身の明治の実業家・渋沢栄一翁も好んで食べたとされています。
中仙道宿生うどん・中仙道宿乱切りそば
つるつるとした食感とコシの強さが特徴の中仙道宿生うどんと、香り高い中仙道宿乱切りそばも埼玉県の料理のひとつ。 江戸時代、中仙道を旅する人でにぎわった郷土の宿場で人気だった生うどんの伝統が現代まで引き継がれています。 田中製麺株式会社が製造する中仙道宿生うどん・中仙道宿乱切りそばは、彩の国優良ブランド品にも認定されています。
埼玉醤油
小麦と大豆作りの条件に恵まれた埼玉県では、醤油作りがさかん。 埼玉県日高市には「彩の国醤遊王国」があり、多種多様な醤油と醤油ラスクや醤油アイスなど醤油関連グッズを楽しむことができます。 また、現在は新型コロナウイルス等の感染拡大防止のため中止されていますが、川越で約250年続く蔵元である松本醤油商店では醤油蔵の見学もできます。
樹里安
鋳物が盛んな全国有数の工業都市である川口市の銘菓として有名な「樹里安」 川口芝菓子製造組合の各和菓子店が共同参加し製作されました。 あんず餡、レーズン餡と2種類のフルーツ餡を乳菓生地で包餡した和洋折衷スタイルの焼き菓子です。
草加せんべい
良質の米が獲れ、また良質の水と良質の醤油が身近にあったことから日光街道「草加」の名物となった草加せんべい。 選び抜かれた良質の100%うるち米を使用。昔ながらの製法で作られ本物の味を提供。平成12年には「21世紀に残したい埼玉ふるさと自慢100選」に入選。
まんまるで素朴、どこか懐かしさを感じる香りとシンプルな美味しさで子供からお年寄りまで親しまれているせんべいです。草加地区手焼煎餅協同組合の草加せんべいは、伝統と製法を継承し手づくりの味を守りながら精選した白米から生地造り、焼き上げまで一貫生産されています。 全国各地で草加せんべいが作られていますが、地元草加で作られた草加せんべいには味・香り・伝統を象徴したシンボルマークが付いていますのでチェックしてくださいね。
五家宝
埼玉県熊谷市の銘菓であり加須市の特産品として、公立小中学校の学校給食に出ることがある五家宝。 餅米、大豆、水飴、砂糖が原材料で無添加、そしてきなこの甘い生地で包まれた五家宝は、香ばしい香りと上品な甘さで老若男女問わず愛されています。
芋菓子
草加せんべい、五家宝と並び、埼玉の三大銘菓のひとつである芋菓子。 東京から利便性の高い小江戸・川越市の名物サツマイモを使ったスイーツで、黄色い「芋ソフトクリーム」は川越発祥です。 そのほかに芋せんべいや芋羊羹、芋松葉、芋納豆、芋シュー、二色芋ババロア、芋プリンなどサツマイモを使った名物がたくさんあります。
繊維製品
埼玉県の豊かな水は伝統工芸でもある繊維製品で受け継がれていますが、伝統×流行を取り入れた織物は現代でも人気が高い製品のひとつです。
所沢織物
江戸時代より狭山丘陵周辺の農家の副業として盛んだった織物は、所沢で取引されたことで所沢織物と言われるようになりました。 輸入綿糸(舶来唐糸)の導入により双子縞が生産され、良質な綿100%素材と伝統技法が受け継がれ野田双子織物として続いています。
秩父織物
養蚕業がさかんだった埼玉県では秩父銘仙は埼玉県秩父市、秩父郡横瀬町、秩父郡小鹿野町、秩父郡皆野町、秩父郡長瀞町などで作られてきました。 伝統工芸品のひとつである秩父銘仙は、ほぐし捺染の技術を使った鮮やかで大胆なデザインが魅力的な織物で、角度によって色の見え方が異なる玉虫のような美しい色合いが特徴です。
武州織物
手作業で糸をほぐし、染めの状態を目で確認しながら染め武州正藍染。埼玉県羽生市・加須市・行田市で生産された埼玉県武州地域に由来する正藍染の織物をいいます。 藍の濃淡が美しい風合いの武将織物には、伝統的な武州紺織と武州唐桟があります。
熊谷捺染
戦国時代から武蔵木綿、また綿織物「熊谷白」の産地として知られる熊谷では、明治・大正期には200軒を超える染め物工場があったそうです。 荒川と利根川の豊かな伏流水の恵を受け、反物づくりがさかんでした。 友禅、小紋、小紋の3つ手法で染める熊谷染は、絹織物(白生地)に糊で溶かした染料や顔料を印捺して模様を描き染色します。
木材・木製品
埼玉県では「伐って・使って・植えて・育てる」と森林の循環利用と県産木材の利用拡大が推進されています。木材・木製品で有名な秩父木材についてみてみましょう。
秩父木材
秩父地域の森林から伐採、搬出し、製材、加工した木材を秩父木材といい、江戸の木材の供給源として消費されていました。 地域の木材を地域で使う(地産地消)は地域の森や山を守り、森林・林業を活性化として大事なことであり、秩父木材は秩父地域の各市・町で、公共施設等へ積極的に使われています。
紙器・印刷
職人がこだわりを持って製作する紙器産業や印刷産業も地場産業のひとつ。 どんな製品が作られているのかみてみましょう。
埼玉紙器
埼玉県全域を区域とする唯一の紙器段ボール箱製造の埼玉県紙器段ボール箱工業組合は、地場産業を代表する団体です。 物流に欠かせないダンボールや商品のアピール・ディスプレイなど、紙器、印刷箱、貼箱などを展開しています。 また、1枚の段ボールからできている「中空構造保護パット」や段ボールの形状を変えた「ハウスボックス」など様々なアイデアと製品を提供しています。
埼玉印刷
埼玉県の地場産業として、小規模ですが多くの印刷業者が県内の情報発信・情報交流に貢献している埼玉印刷。 埼玉県印刷工業組合では、機関誌やイベントの開催などで印刷産業をアピールしています。
皮革
草加せんべい、浴衣染めとともに草加を代表する伝統産業のひとつで、豊かな水と都心に近いことから発展した草加の皮革産業。 一時は低迷しましたが、現在では草加市を中心に最終製品までを製造する皮革関連事業所が集積しています。
草加皮革
地下水が豊富な草加では、昭和10年に皮革会社が工場を開設して以来さかんになった産業、草加皮革。 草加は全国有数の産地として、多種多様な素材を用いた靴や手袋、ハンドバック、財布など草加皮革を製造しています。
機械・金属
埼玉県には、日本のモノづくりを支える多種多様な基盤技術を担う製造業が集積しています。中でも機械・金属産業で伝統を受け継ぎながらも新しい技術開発などチャレンジする企業もたくさんあります。
埼玉鍍金
昭和41年4月に電気めっき業を中心とした金属表面処理業者により発足した埼玉県鍍金工業組合。単一金属のめっきから合金めっき、複数の金属、セラミック等の複合めっき、無電解めっき、静電塗装などあらゆる産業分野に深く関わるめっきは、加工や用途は様々です。
川口鋳物
モノづくり産業で古い歴史をもつ鋳物ですが、鋳物・機械・部品・金属・精密加工等の「ものづくり産業」が集積する川口市。 高欄、照明灯、フェンス、モニュメント、車止めなど多種多様な製品が作られています。
埼玉県が積極支援!先端産業・科学技術産業
伝統を引き継ぐ産業やモノづくり産業がさかんな埼玉県ですが、近年では先端産業、科学技術産業にも力を入れています。 航空・宇宙産業参入支援事業として自動車や電機産業などで培った高度な技術を持つ県内中小企業が、次世代の産業として成長が見込まれている航空・宇宙産業へ参入するための様々な支援や先端産業支援などがあります。 【令和2年度の埼玉県先端産業支援】
先端製品開発費補助金
先端産業の育成を図るため、企業が行う先端製品の開発に対し、補助金を交付 ・AIを活用した機器等開発・実証補助金 県内企業におけるAIの活用を促進し、県内産業の振興を図るため、AIを活用した機器及びシステムの開発・実証を行う研究開発プロジェクトに対し、補助金を交付
スマートモビリティ実証補助金
自動運転車両を利用したバスやタクシーなどの交通事業をはじめ、移動や物流に関する新たな事業の創出を支援するため、事業者がスマートモビリティの実証実験を行うに当たって必要となる費用に対し、補助金を交付
医療機器等事業化支援補助金
県内中小企業における医療機器等の事業化促進を図るため、企業が自社及び大学等と共同で開発した医療機器等の改良や承認・認証取得等のために要する経費の一部について、補助金を交付
引用:埼玉県 先端産業支援 https://www.pref.saitama.lg.jp/a0812/sentan.html
最先端の技術開発!宇宙開発企業、産業機械・ロボット制作企業
埼玉県では、宇宙航空関連やロボット関連など精密な技術を必要とする最先端のモノづくり産業に力を入れる企業が活躍しています。
コロナ禍ではソーシャルディスタンスが重視され、ロボットを活用した非接触や遠隔が注目。医療や介護はじめ農業やモノづくり産業などの人手不足を補う方法として産業機械やロボット技術のニーズも高まっています。
また埼玉県鳩山町には、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の地球観測センターや気象庁の関連施設があり、「宇宙に近いまち」ともいわれています。 宇宙開発企業、産業機械・ロボット制作企業など、最先端の研究開発環境とモノづくり技術で活躍している企業を紹介します。
宇宙技術開発株式会社
地球観測センター内 ロケットの開発支援やISSの計画立案、人工衛星などのシステム開発から構築などの提供を手掛けています。 宇宙飛行士の訓練や宇宙食の搭載支援や無線技術e-Learningなどツール、衛星画像の販売や解析など宇宙関連事業や装置の開発に携わっています。
企業情報
【本社】 〒164-0001東京都中野区中野5-62-1 eDCビル
TE:03-3319-4001 (大代表)03-3319-4002 (代表)
【鳩山出張所】 〒355-0063 埼玉県東松山市元宿2-27-7 高橋ビルII
TEL: 0493-31-1122 FAX: 0493-31-1123
公式URL:https://www.sed.co.jp/index.html
株式会社ビー・アンド・プラス
空間を通じて電気を伝える事のできる最先端の技術ワイヤレス給電で、世界一を目指すビー・アンド・プラス。 30年にわたりワイヤレス給電を使った製品を国内で開発・製造。「無軌道走行」「ロボット搭載」「ワイヤレス充電」と、今後の工程内作業の自動化を支える開発を行っています。 またリモートシステムのOEM開発・製造も請け負っています。 コロナ禍で3密を避けられる、ワイヤレス給電をリモート学習できるWEBワークショップも開催されています。
企業情報
【本社】 〒355-0311埼玉県比企郡小川町高谷2452-5 TEL : 0493-71-6551
【WPT応用技術センター】 〒330-0843埼玉県さいたま市大宮区吉敷町1-118-202
【名古屋営業所】 〒450-0003名古屋市中村区名駅南 1-18-19 第2原ビル
中国、韓国、台湾など海外にも代理店アリ。
公式URL:https://www.b-plus-kk.jp/
タイテック株式会社
医療・食品分野の理化学機器や産業機器の製造を行っています。産業向けチラーやワールブルグ検圧装置、恒温振とう培養機、マルチガスインキュベーター、スピンダウンミキサーなどを取扱い、無償点検などのサービスのほか、バイオ医薬品開発・生産用支援製品「強制通気式大型CO2インキュベーター」も手掛けています。 ニーズに応えた製品とサービスの提供と環境保全に配慮しています。
企業情報
【本社】 〒343-0822 埼玉県越谷市大字西方2693番地1
TEL : 048-988-8371 FAX : 048-988-8369(代表)
公式URL:https://taitec.net/
【まとめ】伝統ある埼玉県の中小企業からはじまる挑戦
いかがでしたでしょうか? 埼玉県の地場産業や県が力を入れている先端産業、科学技術産業について紹介させていただきました。
埼玉県では伝統を受け継ぐ地場産業のほか、精密加工技術や高度なハイテク機器を取り扱う中小企業の製造業が多く存在します。 これまで伝統的な製造を行っていた企業が昔ながらの職人技や人間力を駆使し宇宙開発や産業機械・ロボット制作に挑戦している企業もあります。
埼玉県の中小企業やベンチャー企業が未来の宇宙や医療、産業を支えているといっても過言ではありません。 埼玉県から下町ロケットのようなストーリーが生まれる日も近いのではないでしょうか。 ぜひ、埼玉県で活躍している企業をチェックしてみてください。