熊谷市の大手本社企業・大手企業の工場一覧
2022年05月17日(公開日:2022年5月2日)
熊谷市は県北に位置し、県内では9番目に人口が多い都市です。江戸時代に中山道の熊谷宿として栄えた歴史のある街で、埼玉県北部における経済拠点ともなっています。
農業産出額は平成30年統計では県内第5位、年間商品販売額は平成28年統計では県内第5位、製造品出荷額は平成30統計で県内第3位と産業面でも県内上位にあり、国土交通省によって首都圏の業務核都市(深谷市と一体指定)に指定されています。
経済と産業、両面で県内でも有数の都市である熊谷市の、大手本社企業と大手企業の工場を一覧にして紹介します。
熊谷市に本社がある大手企業一覧
秩父鉄道(株)
- JASDAQ(スタンダード)
- 資本金:7億5千万円
- 従業員数:317名(2021年3月時)
- 本社住所:埼玉県熊谷市曙町1-1
- 事業内容:旅客鉄道事業、不動産事業
- https://www.chichibu-railway.co.jp
羽生駅から熊谷駅を通り、長瀞、秩父などの人気観光地を経由して三峰口まで。埼玉県内の観光とは切り離せない秩父鉄道。その本社は熊谷市にあります。創業は明治32年の歴史ある老舗企業です。
秩父鉄道では鉄道事業の他に、不動産事業も行っています。企業サイトでは秩父鉄道沿線を中心に、賃貸アパートやマンション、一戸建てや貸事務所など、用途に合わせた不動産情報を取り扱っています。秩父鉄道ファンには垂涎の物件もあるかもしれませんね!
(株)バナーズ
- 東証二部
- 資本金:3億737万円
- 従業員数:連結従業員数77名、単独従業員数6名
- 本社住所:埼玉県熊谷市石原1-102
- 事業内容:不動産利用事業、自動車販売事業、楽器販売事業
- http://www.banners.jp/index.html
不動産事業はビルのテナント紹介をする事業で、熊谷市ではニトリ、とんでん。本庄市ではスーパーマーケットのベルクと契約をしています。
自動車販売事業ではホンダカーズを熊谷、本庄、寄居に1店舗ずつ展開。楽器販売事業ではダブルリードの専門店として、オーボエ・バスーンの輸入販売を新宿で行っている企業です。
(株)リード
- 東証二部
- 資本金:6億5,824万円
- 従業員数:274名(令和3年4月時)
- 本社住所:埼玉県熊谷市弥藤吾578
- 事業内容:自動車部品の開発・製造、電子営業(ラック・ケース類)、駐輪営業(シンワ型駐輪システム)
- http://www.lead.co.jp
バンパーやドア、ハンドブレーキレバーなどの自動車部品製造のほか、自社ブランドとして電子機器用のシステムラックやケースも製造している企業です。
上記以外には最近ではマンションやショッピングモール、学校やその他公共施設・商業施設でもお馴染みになっている各種サイクルラック(駐輪場)、自動ゲートや電磁ロック式といった駐輪システムも取り扱っています。
熊谷市に工場がある有名・大手企業一覧
(株)アルビオン
- 熊谷工場:埼玉県熊谷市船木台4-1-1
- 未上場
- 資本金:7億6098万円
- 従業員数:3,750名
- 本社住所:東京都中央区銀座1-7-10
- 事業内容:高級化粧品の製造・販売
- https://rashisa.albion.co.jp
アルビオンは有名化粧品メーカー『コーセー』の子会社の一つです。IGNIS・ANNA SUI・PAUL&JOEなどの有名ブランドを7つ展開しているアルビオンの工場が、実は熊谷市にもあることをご存知でしたか?アルビオンの工場は熊谷市の他、東京の銀座のみとなります。
MSD(株)
- 妻沼工場:埼玉県熊谷市西城810
- 未上場
- 資本金:263億490万円
- 従業員数:約3,200名(2021年4月時)
- 本社住所:東京都千代田区九段北1-13-12 北の丸スクエア
- 事業内容:医療用医薬品、ワクチンの開発・輸入・製造・販売
- https://www.msd.co.jp
1926年に日本でペニシリンの公認製造許可第1号を取得した万有製薬が、2010年にアメリカの大手製薬会社だったシェリング・プラウ社と統合し、MSDが新設されました。親会社はアメリカにあるMerckとなるため、グローバルなヘルスケア活動を行う企業となっています。
メイン工場は熊谷市の妻沼工場となっており、グローバルグループの強みで得た各国の様々な治療実績などの情報を元に、がんや糖尿病、感染症や急性期疾患などの治療に用いられる医薬品や、各種ワクチンの開発・製造を行っています。
ゼリア新薬工業(株)
- 埼玉工場:埼玉県熊谷市成沢字合羽山1212
- 中央研究所:埼玉県熊谷市押切字沼上2512-1
- 東証一部
- 資本金:65億9,339万8,500円
- 従業員数:1,850名(2020年4月時)
- 本社住所:東京都中央区日本橋小舟町10-11
- 事業内容:
1.医薬品、医薬部外品、動物用医薬品、農薬、工業薬品、試薬の製造・販売および輸出入
2.化粧品、健康食品、酒精飲料、清涼飲料、食品添加物、飼料、肥料、衛生雑貨、医療機器、健康機器、衛生設備機器、美容器具、測定機器、分析機器の製造・販売および輸出入
3.前各号に附帯関連する一切の事業 - https://www.zeria.co.jp
コンドロイチンやヘパリーゼなど、TVCMでも耳にする商品を開発・販売するゼリア新薬工業です。国内に留まらず、スウェーデン、イギリス、ドイツやフランスなどの欧州やベトナムといった国外でも事業展開を行っています。
工場は熊谷市と牛久市にそれぞれ1か所ずつで計2か所となっています。研究所は熊谷市の中央研究所のみとなります。
太平洋セメント(株)
- 熊谷工場:埼玉県熊谷市三ケ尻5310
- 東証一部
- 資本金:862億円
- 従業員数:1,838名(2021年3月時)
- 本社住所:東京都文京区小石川1-1-1
- 事業内容:セメント事業、資源事業、環境事業、建材・建築土木事業、その他
- https://www.taiheiyo-cement.co.jp/index.html
明治14年にセメント製造会社を立ち上げた、歴史ある老舗企業です。平成に入ってから中国から始まり、アメリカ、ベトナム、韓国など海外拠点を設立し、グローバル企業へと成長しました。
事業内容のメインはセメント事業ですが、事業上で発生する不要物を再利用または資源化する取り組みや、採掘跡地の緑化など環境への配慮も事業として取り組んでいます。
(株)ニコン
- 熊谷製作所:埼玉県熊谷市御稜威ケ原201-9
- 東証一部
- 資本金:65,476百万円(2021年3月時)
- 従業員数:連結19,448名、単体4,183名(2021年3月時)
- 本社住所:東京都港区港南2-15-3 品川インターシティC棟
- 事業内容:光学機械器具の製造、ならびに販売
- https://www.nikon.co.jp
日本人に今更ニコンの企業説明は必要ないのでは?そんな風に思ってしまうほど有名な大手企業の工場も熊谷市にあります。ニコンの製作所は国内に6か所あり、熊谷製作所はそのうちの一つになります。
様々な光学機械器具の開発・設計・製造といった幅広い分野と作業のうち、熊谷製作所では主に半導体露光装置に関わる事業を行う『半導体装置事業部』が置かれ、運営されているようです。
日清シスコ(株)
- 東京工場:埼玉県熊谷市妻沼5000
- 未上場
- 資本金:26億円
- 従業員数:不明
- 本社住所:東京都台東区東上野4-24-11
- 事業内容:各種シリアルフーズ、スナック類、ビスケット・クッキー類、チョコレート製品類など食品・菓子の製造販売
- https://www.nissin.com/jp/about/nissincisco/
カップヌードル、U.F.O、どん兵衛、チキンラーメンなどといった人気のカップ麺やインスタント麺を製造・販売する日清食品。日清食品ブランドはカップ麺とインスタント麺に限らず、冷凍食品やお菓子などでも人気商品を多数販売しています。
日清シスコはそんな日清食品グループの子会社として、ごろっとグラノーラやチョコフレークといったシリアルフーズ、ココナッツサブレといった菓子類の製造・販売を行っています。
工場は2か所、大阪工場と東京工場になりますが、この東京工場があるのが熊谷市です。
能美防災(株)
- メヌマ工場(妻沼西事業所):埼玉県熊谷市妻沼西1-6
- メヌマ工場(妻沼東事業所):埼玉県熊谷市妻沼東5058
- 東証一部
- 資本金:133億200万円
- 従業員数:2,606名(2021年3月時)
- 本社住所:東京都千代田区九段南4-7-3
- 事業内容:防災システムの研究、開発、企画、製造、設計、施工、メンテナンス
- https://www.nohmi.co.jp
関東大震災の被害を教訓に、大正13年に創業した老舗の防災サービス企業です。納入実績には横浜ランドマークタワー、福岡ドームといった商業施設の他、奈良の東大寺といった史跡関係が並びます。また沿革には昭和8年には三十三間堂に、昭和11年には皇居に自動火災報知機を設置するなど、企業の歴史と大きさを感じさせる経歴が記載されています。
工場は東京都三鷹市に1か所、熊谷市には妻沼西事務所と妻沼東事務所と二箇所のメヌマ工場があります。
日立金属(株)
- 熊谷磁材工場ほか:埼玉県熊谷市三ケ尻5200
- 東証一部
- 資本金:26,284百万円(2021年3月時)
- 従業員数:日立金属グループ連結28,620名(2021年3月時)
- 本社住所:東京都港区港南1-2-70 品川シーズンテラス
- 事業内容:金属材料、機能部材の製造と販売
- https://www.hitachi-metals.co.jp
こちらも日本人なら誰でも知っているであろう、日立製作所。そこから鉄鋼部門の事業を譲り受け分離独立、日立金属という企業として上場をしています。事業内容としては『金属材料部門』と『機能部材部門』の2つに分かれています。
とはいえ、国内に9か所ある製造拠点と3か所ある研究所も2つの部門に分かれているかというと、そういうわけではないようです。熊谷市三ケ尻にある工場にも、同住所で以下のように複数の部門が設置されています。
・自動車鋳物:(株)アルキャスト
・熊谷磁材工場
・機能部材研究所-磁性材料研究所
・グローバル技術革新センター(研究開発)
(株)リケン
- 熊谷事業所:埼玉県熊谷市末広4-14-1
- 東証一部
- 資本金:8,573百万円(2021年3月時)
- 従業員数:連結4,358名、単体1,260名
- 本社住所:東京都千代田区三番町8-1 三番町東急ビル3階
- 事業内容:自動車・産業機械分野向け機能部品の製造・販売
- https://www.riken.co.jp
大正15年に理化学研究所で製造法が発明されたピストンリングを、製造販売するために昭和2年『理化学工業(株)』が設立されました。この理化学工業を前身とした企業がリケンです。
現在ではピストンリングの他に、自動車用・産業機械用の各種機能部品、配管機材、熱エンジニアリング事業、EMC事業など、幅広い事業展開を行っています。
工場は新潟県柏崎市に2か所、熊谷市に1か所あり、熊谷事業所では主に熱エンジニアリング事業とEMC事業を手掛けているようです。
熊谷市の工業団地とは
上記で分かる通り、熊谷市には海外でも活躍するグローバル企業の工場が多くあります。ということは大きな工業団地もあるはずと考えますが、よく見てみると住所にほとんど統一性がありません。なぜかというと、熊谷市全域が工業団地化しているともいえるから。
熊谷市は1986年に国土交通省によって深谷市と一体指定で『首都圏の業務核都市』に指定されました。『首都圏の業務核都市』とは、東京圏の一極化を防ぐため、業務機能をメインとした諸機能を分散化させるために指定された都市のことを言います。
この計画では「広域的な連携・交流の要となる都市を育成・整備する」ことと定められており、熊谷市も深谷市と合同でこの業務核都市に指定されたため、整備された流通の良さから、多くの有名企業や大企業が工場を作るに至りました。
現在では、業務核都市指定された熊谷市から深谷市にかけてのエリアが「熊谷工業団地」と呼ばれるほど、工場が軒を連ねる都市になりました。
熊谷市の産業の特徴は?
それほどに工場が多い地域ではありますが、熊谷市としては特徴のある産業というのはありません。熊谷市に工場を構える企業を見ても、多種多様な業種の企業が名を連ね、あまり共通性も感じられません。
市内の産業別事業所数を見てみるとその傾向を実感できるでしょう。熊谷市内の事業所数上位5位分を下に書き出してみます。
産業別事業所数:熊谷市HP統計表https://www.city.kumagaya.lg.jp/about/chousa_toukei/tokei/R1toukeisho.html
1.卸売業・小売業、2,152件
2.宿泊業・飲食サービス業、1,017件
3.建設業、838件
4.生活関連サービス・娯楽業、777件
5.医療・福祉、665件
このように、事業所の産業分類を見ると、サービス系の業種が上位を占めているように感じられます。かつて中山道熊谷宿という宿場町だった影響なのかもしれません。
熊谷市は県北の経済拠点!
熊谷市には市特有の目立った産業はありませんが、世界的にも有名な大手企業の本社や工場が多くあります。業務核都市に指定されているため、鉄道や道路など流通の便も良く、埼玉県北部の経済的な一大拠点とも言われる都市です。
中山道熊谷宿という宿場町として、江戸時代またそれ以前からの歴史としても深い都市となっています。仕事、観光、生活さまざまなニーズに応えられる都市です!